エコノミストマネー:増え続ける実需 中国の不動産株は買い
マーケット最前線 新興国株(エコノミストマネー2010年7月号より)
中国国土資源省によると2009年の中国不動産価格は全国平均で前年比25.1%値上がりし、過去10年間の最高上昇率となった。特に北京や深といった主要都市での不動産価格は60%以上も上昇している。
過熱度合いを株価と比較してみても、上海総合指数が07年の最高値の4割ほどの水準であるのに対し、不動産価格は過去最高値を大きく突破している。米『フォーブス』誌が発表した「バブル直前状態にある7業界」のなかで、中国の不動産は2位にランクイン。その一方、米国の著名投資家であるウォーレン・バフェット氏は、中国不動産市場を大きな賭場と評している。
具体的な事例を見てみよう。北京市内の住宅地で一般的な物件を探すと、1平方メートル当たり3万元(約40万円)はする。つまり100平方メートル(中国の住宅の1平方メートルは、壁の厚さも含むなどの理由から日本よりも少し狭く、100平方メートルは日本の90平方メートル前後の感覚)だと300万元(約4,000万円)の物件ということになる。これは、東京近郊の不動産価格を超える水準だ。
過熱している不動産市場に対して、中国政府は難しい舵取りが要求されている。不動産価格を抑える必要がある一方で、暴落は避けなければならないからだ。
中国経済にとって、不動産市場は成長の源泉だ。中国の各地方政府にとっての主要財源は、農地を開発用途に目的替えし、その使用権を開発業者に売ることから生み出されている。そして、その財源を基に各省はインフラ投資を行い、経済成長と雇用を同時に創出しているのである。
もし、不動産価格が暴落すれば、地方政府は財源に苦しむことになるとともにインフラ投資に回すお金がなくなり、結果として雇用が減り成長が止まる。不動産価格の下落は不良債権増加につながり銀行にも痛手となるため、中国経済は足元からひっくり返りかねない。
◇長期的には成長期待可能
これらを踏まえ、09年後半から連続的に不動産価格の抑制策が打ち出されている。4月17日には、3軒目の住宅購入への融資を禁じるといったような、ここ数年のなかで最も厳しいとされる抑制策も発表された。
しかし、このような政策が出ているにもかかわらず、5月末時点の北京の不動産価格は新築では3~4月に比べて下がっておらず、中古でも10%程度しか下がっていない。もちろん、下がらない状態が続けば追加抑制策が発表されるだろう。その懸念があるために購入者は様子見の状況だ。ただ、取引量自体は減少しており、いずれ価格は下落基調になるだろう。
実際に、中国を代表する不動産会社の万科企業や中国海外発展などの株価は下落傾向にある。しかし、これは買いチャンスだ。中国政府は不動産価格の上昇を抑えようとしているが、前述のように成長の源泉でもある取引量の縮小は望んではいない。
そして、毎年2,000万人が都市部へ流れ込み、100万人都市が次々とできている状況は、今後も変わらない。つまり、不動産の実需は増え続け、最終的にそれが不動産価格を下支えするだろう。
目先は不動産企業の業績は弱含むだろうし、追加抑制策が発表されれば、株価はさらに下落するだろう。だが、長期的には成長が期待できるため、中国を代表する不動産株が下がったところは、買いと考える。
■戸松 信博(とまつ・のぶひろ)グローバルリンクアドバイザーズ社長
中国国土資源省によると2009年の中国不動産価格は全国平均で前年比25.1%値上がりし、過去10年間の最高上昇率となった。特に北京や深といった主要都市での不動産価格は60%以上も上昇している。
過熱度合いを株価と比較してみても、上海総合指数が07年の最高値の4割ほどの水準であるのに対し、不動産価格は過去最高値を大きく突破している。米『フォーブス』誌が発表した「バブル直前状態にある7業界」のなかで、中国の不動産は2位にランクイン。その一方、米国の著名投資家であるウォーレン・バフェット氏は、中国不動産市場を大きな賭場と評している。
具体的な事例を見てみよう。北京市内の住宅地で一般的な物件を探すと、1平方メートル当たり3万元(約40万円)はする。つまり100平方メートル(中国の住宅の1平方メートルは、壁の厚さも含むなどの理由から日本よりも少し狭く、100平方メートルは日本の90平方メートル前後の感覚)だと300万元(約4,000万円)の物件ということになる。これは、東京近郊の不動産価格を超える水準だ。
過熱している不動産市場に対して、中国政府は難しい舵取りが要求されている。不動産価格を抑える必要がある一方で、暴落は避けなければならないからだ。
中国経済にとって、不動産市場は成長の源泉だ。中国の各地方政府にとっての主要財源は、農地を開発用途に目的替えし、その使用権を開発業者に売ることから生み出されている。そして、その財源を基に各省はインフラ投資を行い、経済成長と雇用を同時に創出しているのである。
もし、不動産価格が暴落すれば、地方政府は財源に苦しむことになるとともにインフラ投資に回すお金がなくなり、結果として雇用が減り成長が止まる。不動産価格の下落は不良債権増加につながり銀行にも痛手となるため、中国経済は足元からひっくり返りかねない。
◇長期的には成長期待可能
これらを踏まえ、09年後半から連続的に不動産価格の抑制策が打ち出されている。4月17日には、3軒目の住宅購入への融資を禁じるといったような、ここ数年のなかで最も厳しいとされる抑制策も発表された。
しかし、このような政策が出ているにもかかわらず、5月末時点の北京の不動産価格は新築では3~4月に比べて下がっておらず、中古でも10%程度しか下がっていない。もちろん、下がらない状態が続けば追加抑制策が発表されるだろう。その懸念があるために購入者は様子見の状況だ。ただ、取引量自体は減少しており、いずれ価格は下落基調になるだろう。
実際に、中国を代表する不動産会社の万科企業や中国海外発展などの株価は下落傾向にある。しかし、これは買いチャンスだ。中国政府は不動産価格の上昇を抑えようとしているが、前述のように成長の源泉でもある取引量の縮小は望んではいない。
そして、毎年2,000万人が都市部へ流れ込み、100万人都市が次々とできている状況は、今後も変わらない。つまり、不動産の実需は増え続け、最終的にそれが不動産価格を下支えするだろう。
目先は不動産企業の業績は弱含むだろうし、追加抑制策が発表されれば、株価はさらに下落するだろう。だが、長期的には成長が期待できるため、中国を代表する不動産株が下がったところは、買いと考える。
■戸松 信博(とまつ・のぶひろ)グローバルリンクアドバイザーズ社長












