エコノミストマネー:好調な1~3月GDP 5つの不安要因も
金融副大臣 大塚耕平の経済をみる「眼」(エコノミストマネー2010年7月号より)
2010年第1四半期(1~3月)の国内総生産(GDP)が、実質ベースで前期比プラス4.9%(年率換算)となりました。08年秋のリーマン・ショック後の景気低迷からの立ち直りが顕著ですが、内容的には強弱双方の材料が交錯しています。
第1に、前年同期比でもプラス4.6%と8期ぶりに拡大。本格的な景気回復の兆しと言えます。
しかし、見方を変えれば、これまでの落ち込み期間が2年と長く、その幅も大きかったことの裏返し。現に、GDPの絶対額はピークを付けた08年第1四半期に比べマイナス4.7%の水準にとどまっています。
第2に、個人消費、住宅投資、設備投資の民需3項目がそろって前期を上回りました。これもやはり8期ぶりのことです。
もっとも、個人消費や住宅投資はエコカー減税やエコポイント制度といった政策効果、設備投資は新興国など外需回復をそれぞれ反映した動きです。政策効果の息切れと外需の腰折れに直面する懸念もあります。
第3は、民需3項目のなかでも主力の個人消費を左右する所得動向です。名目ベースの雇用者報酬も前期比プラス1.6%と8期ぶりに増加。これも明るい材料です。しかし前年同期比ではマイナス0.3%と6期連続の減少で、本格回復までには道半ばの状況です。
第4は、名目GDPが実質GDPを下回る「名実逆転」現象を5期ぶりに解消。昨年末来の政府・日銀によるデフレ対策が奏功しています。
ただし、前期比では名目ベースでプラス1.214%、実質ベースでプラス1.209%とその差はわずか0.005%。内容的には天候不順の影響による野菜の値上がりや資源価格上昇を反映したものです。
以上のように、景気動向はまだまだ予断を許しません。とはいえ、10年の「成長率のゲタ」は高くなりました。つまり第2四半期以降にゼロ成長が続いても、年率1.5%程度のプラス成長となる試算です。
◇バブル状態の中国 スタグフレーションも
一方、景気動向に対する当面の不安要因は以下の通りです。
第1はデフレ。上述のように、第1四半期のGDP成長率は名実逆転をかろうじて解消しましたが、先行きは全く楽観できません。
第2はギリシャの財政危機に端を発する市場の混乱です。株安が世界中に連鎖するなか、ギリシャを含む欧州連合(EU)各国の財政状況や通貨ユーロに対する不安から、相対的に円高が進んでいます。
第3は日本の財政問題。ギリシャ問題が日本にも飛び火するリスクがあります。長期金利の上昇につながると国債発行などの財政ファイナンスにも影響が及び、財政問題を一層深刻化させることになります。
第4は、政策効果の息切れ。自律的な景気回復が軌道に乗る前に政策効果が息切れするような場合には、補正予算などによっててこ入れを図る必要があります。
第5は中国の動向。高度成長が続いていますが、その実態は過度な金融緩和によるバブル状態。ギリシャ問題の影響で株価は大幅に下落しており、当面、株価下落とインフレのリスクにさらされます。バブル崩壊→景気悪化→インフレとなれば、景気低迷下でインフレが進むスタグフレーションに陥る可能性があります。こうした最悪の事態が生じると、日本の輸出や設備投資にとっても大きなダメージです。
今後の景気動向を分析するうえで、これらを注視しなければなりません。
■大塚耕平(おおつか・こうへい):1959年、名古屋市生まれ。83年早稲田大学政治経済学部卒業後、日銀に入行。在籍中に同大学院博士課程(マクロ経済学、財政金融論)修了。2001年から参院議員(現在2期目)。中央大学大学院、早稲田大学客員教授を兼務。民主党きっての経済政策通として知られる。
2010年第1四半期(1~3月)の国内総生産(GDP)が、実質ベースで前期比プラス4.9%(年率換算)となりました。08年秋のリーマン・ショック後の景気低迷からの立ち直りが顕著ですが、内容的には強弱双方の材料が交錯しています。
第1に、前年同期比でもプラス4.6%と8期ぶりに拡大。本格的な景気回復の兆しと言えます。
しかし、見方を変えれば、これまでの落ち込み期間が2年と長く、その幅も大きかったことの裏返し。現に、GDPの絶対額はピークを付けた08年第1四半期に比べマイナス4.7%の水準にとどまっています。
第2に、個人消費、住宅投資、設備投資の民需3項目がそろって前期を上回りました。これもやはり8期ぶりのことです。
もっとも、個人消費や住宅投資はエコカー減税やエコポイント制度といった政策効果、設備投資は新興国など外需回復をそれぞれ反映した動きです。政策効果の息切れと外需の腰折れに直面する懸念もあります。
第3は、民需3項目のなかでも主力の個人消費を左右する所得動向です。名目ベースの雇用者報酬も前期比プラス1.6%と8期ぶりに増加。これも明るい材料です。しかし前年同期比ではマイナス0.3%と6期連続の減少で、本格回復までには道半ばの状況です。
第4は、名目GDPが実質GDPを下回る「名実逆転」現象を5期ぶりに解消。昨年末来の政府・日銀によるデフレ対策が奏功しています。
ただし、前期比では名目ベースでプラス1.214%、実質ベースでプラス1.209%とその差はわずか0.005%。内容的には天候不順の影響による野菜の値上がりや資源価格上昇を反映したものです。
以上のように、景気動向はまだまだ予断を許しません。とはいえ、10年の「成長率のゲタ」は高くなりました。つまり第2四半期以降にゼロ成長が続いても、年率1.5%程度のプラス成長となる試算です。
◇バブル状態の中国 スタグフレーションも
一方、景気動向に対する当面の不安要因は以下の通りです。
第1はデフレ。上述のように、第1四半期のGDP成長率は名実逆転をかろうじて解消しましたが、先行きは全く楽観できません。
第2はギリシャの財政危機に端を発する市場の混乱です。株安が世界中に連鎖するなか、ギリシャを含む欧州連合(EU)各国の財政状況や通貨ユーロに対する不安から、相対的に円高が進んでいます。
第3は日本の財政問題。ギリシャ問題が日本にも飛び火するリスクがあります。長期金利の上昇につながると国債発行などの財政ファイナンスにも影響が及び、財政問題を一層深刻化させることになります。
第4は、政策効果の息切れ。自律的な景気回復が軌道に乗る前に政策効果が息切れするような場合には、補正予算などによっててこ入れを図る必要があります。
第5は中国の動向。高度成長が続いていますが、その実態は過度な金融緩和によるバブル状態。ギリシャ問題の影響で株価は大幅に下落しており、当面、株価下落とインフレのリスクにさらされます。バブル崩壊→景気悪化→インフレとなれば、景気低迷下でインフレが進むスタグフレーションに陥る可能性があります。こうした最悪の事態が生じると、日本の輸出や設備投資にとっても大きなダメージです。
今後の景気動向を分析するうえで、これらを注視しなければなりません。
■大塚耕平(おおつか・こうへい):1959年、名古屋市生まれ。83年早稲田大学政治経済学部卒業後、日銀に入行。在籍中に同大学院博士課程(マクロ経済学、財政金融論)修了。2001年から参院議員(現在2期目)。中央大学大学院、早稲田大学客員教授を兼務。民主党きっての経済政策通として知られる。












