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最終更新:2011年07月27日

エコノミストマネー:2極化する回復 世界の株式市場

マーケット最前線 ワールドコンパス(エコノミストマネー2010年6月号より)


米メリルリンチの4月分のファンドマネジャー調査から、注目すべき点をご紹介したい。

まずは、市場見通しの強気さだ。株式をオーバーウエート(基準とする配分比率を上回る状態)としているファンドマネジャーの人数からアンダーウエート(同、下回る状態)としたファンドマネジャーの人数を差し引いた値の百分率は52%と、2006年1月以来の高い水準である。また、企業収益が今後12カ月で10%以上アップすると予想しているファンドマネジャーの比率が71%と、前月調査の53%から急上昇している。

次に、ギリシャ危機の影響だ。5カ月前まで最も人気のあった欧州株の人気が急落し、その分のマネーが日本株に流入した。そのため、日本株をオーバーウエートとしたファンドマネジャーは差し引き12%と07年7月以来の高水準となった。

また、4月のキャッシュ比率が3.5%という記録的な低水準になっていることに注目したい。これまでに3.5%となったことは5回あるが、そのうち4回は、調査発表後の4週間のうちに、7%の株価下落を記録している。つまり、買われすぎの状態との指摘がなされたことになる。

また、米株の上昇時は米ドル安、逆に下落時には米ドル高という経験則があるとも記している。つまり、国の通貨が安いときに株価は高い。これは、世界共通だ。

現在(4月16日)と1年前との株価を比較すると、上昇率トップ10は次の通り(ブルームバーグ調べ)。(1)トルコ98%、(2)ロシア97%、(3)インドネシア76%、(4)タイ62%、(5)シンガポール59%、(6)ベトナム56%、(7)ブラジル52%、(8)香港40%、台湾40%、(10)香港上場H株39%。

一方、先進国はNYダウ36%の近辺にズラリと並ぶ。つまり、世界の株式市場は、新興国の元気の良さと、先進国の緩やかな回復ペースとに2極化している。


◇為替の評価で差
この2極化の背景には、それぞれの国の為替レートが割安であるか否かの差がある。

昨年末のIMF(国際通貨基金)の調査から、購買力平価(ある国の通貨建て資金の購買力が、他国でも等しい水準となるように、為替レートが決定されるとの考え方)と現実の為替レートの差をみてみる。すると、株価上昇の勢いの良い市場の為替レートは、実はすべて割安。インドの35%がトップで、中国や韓国などが続く。先進国は日本とフランスの120%を筆頭に、割高かせいぜいトントンだ。

新興国は世界経済の回復時に、割安な為替レートで輸出を伸ばし、自国経済のV字回復を果たし企業収益を増加させた。株価の動きが力強いのも当然だろう。ここまで述べると、人民元切り上げをめぐる米中対立や主として日本の電機市場のシェアを食っている韓国メーカーが連想される。日本の輸出メーカーからすると、「日本円は20%割高、韓国ウォンは40%割安。これで韓国メーカーと勝負になるか」ということだろう。米国が中国製品に感じている感情も、同じようなものに違いない。このような状況は、新興国景気の過熱化、それを防止するための過剰な金融引き締めにつながる懸念がある。一方、先進国は景気回復が弱く、金融緩和が継続している。

大和総研投資調査部の成瀬順也氏は世界経済について、次のようにまとめている。

日本は、日米欧の景気がマイナス要因だが、新興国景気や自国の金融などがプラス要因に挙げられる。これらのプラス要因が多く、オーバーウエートと判断。米国は、新興国景気と自国の金融がプラス要因で、ややオーバーウエート、新興国は自国の景気がプラス要因だが、自国の金融がマイナス要因で中立。欧州は、自国の景気と米国景気がマイナス要因だが自国の通貨がプラス要因で、ややアンダーウエートとしている。冒頭のファンドマネジャー調査と合致している点に注目だ。


■今井 澂(いまい・きよし)国際エコノミスト




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