エコノミストマネー:インフレ進むインド経済 短期的な調整も想定
マーケット最前線 新興国株(エコノミストマネー2010年6月号より)
インドの中央銀行であるインド準備銀行は4月20日、3月に引き続いて今年2回目の利上げを行った。今回の狙いは、インフレの阻止だ。
インドは人口が多いうえに基本的に貿易赤字であり、物資を輸入に頼っているところが大きいためにインフレになりやすい。2010年3月のインドのインフレ 度合いを示す卸売物価指数は前年同月比9.9%増となっている。インフレのピークであった08年8月が12.82%増であったことを考えると、かなりの勢 いでインフレが迫ってきていることが分かる。
不動産価格を見ても10年下半期には、ムンバイやニューデリーの高級住宅地の不動産価格 が、直前のバブルの絶頂期だった08年の高値を超えるという予想もある。つまり、この状態が放置されれば急激なインフレを招きかねない。従って、今回の利 上げは適正な措置と言えるだろう。
◇調整含みの相場に
インドの株価については、中国の株価以上の戻りを示している。
代表的なインドの株価指数であるセンセックス30種株価指数を見ると、08年1月のピーク時の株価が2万1206ポイント。これに対して10年4月22日 の終値は1万7573ポイントであり、ピーク時の83%まで回復している。一方、中国はというと、中国H株指数のピーク時から4月22日時点の回復度合い を見てみると、およそ60%しか回復していない。このことからも相当な戻りと言えるだろう。
そろそろ天井なのかというと、一概にそうと も言えない。世界の景気回復の中で、インド企業も大きく業績を回復させてきているからだ。例えば、センセックス指数の11年3月期予想PER(株価収益 率)は、平均すると16倍程度。割安感はないが、割高感がある水準とも言えない。
今後、企業業績の拡大で株価の上昇は期待できる。しかし、実際には金融引き締め懸念と通貨高で、思うように株価が上昇しないという、じれったい状態が続くと考えている。しばらくは、調整含みの相場展開になるのではないだろうか。
まず、企業業績は今後とも堅調な拡大が続く見通しだ。インドは内需が堅調である。インド国内の自動車販売台数は右肩上がりで、10年3月は122万 6944台(二輪車、三輪車を含む)と過去最高の販売台数を更新した。1人当たりGDPと労働人口の増加が続くインドでは、まだまだこの流れは続くだろ う。
加えて、世界経済に大きな変調がなければ、輸出も好調を維持できそうだ。インド・ソフトウエア・サービス業協会(NASSCOM)によると、10年度(10年4月~11年3月期)のIT業界の輸出収入は、前年度比13~15%増になると予想している。
しかし、金融引き締めと通貨高は、株価のマイナス要因となるだろう。インフレ率は高いレベルにあるため、金融引き締めが続くことは明白である。また、不動 産価格の上昇が行き過ぎれば、中国と同じように規制策が発表され、影響が出る可能性もある。通貨高については、景気回復に合わせて過去1年で米ドルやユー ロに対して12%ほどルピー高が進んでいる。通貨高は一概に悪いことばかりではないが、IT産業をはじめとした輸出産業にとってはマイナス要因である。
もし、世界的な株価下落が起これば短期的な調整もあり得るだろう。しかし、この調整のタイミングは、この後に続く業績相場へ向けての買い時であると考えてよいだろう。
■戸松 信博(とまつ のぶひろ)グローバルリンクアドバイザーズ社長
インドの中央銀行であるインド準備銀行は4月20日、3月に引き続いて今年2回目の利上げを行った。今回の狙いは、インフレの阻止だ。
インドは人口が多いうえに基本的に貿易赤字であり、物資を輸入に頼っているところが大きいためにインフレになりやすい。2010年3月のインドのインフレ 度合いを示す卸売物価指数は前年同月比9.9%増となっている。インフレのピークであった08年8月が12.82%増であったことを考えると、かなりの勢 いでインフレが迫ってきていることが分かる。
不動産価格を見ても10年下半期には、ムンバイやニューデリーの高級住宅地の不動産価格 が、直前のバブルの絶頂期だった08年の高値を超えるという予想もある。つまり、この状態が放置されれば急激なインフレを招きかねない。従って、今回の利 上げは適正な措置と言えるだろう。
◇調整含みの相場に
インドの株価については、中国の株価以上の戻りを示している。
代表的なインドの株価指数であるセンセックス30種株価指数を見ると、08年1月のピーク時の株価が2万1206ポイント。これに対して10年4月22日 の終値は1万7573ポイントであり、ピーク時の83%まで回復している。一方、中国はというと、中国H株指数のピーク時から4月22日時点の回復度合い を見てみると、およそ60%しか回復していない。このことからも相当な戻りと言えるだろう。
そろそろ天井なのかというと、一概にそうと も言えない。世界の景気回復の中で、インド企業も大きく業績を回復させてきているからだ。例えば、センセックス指数の11年3月期予想PER(株価収益 率)は、平均すると16倍程度。割安感はないが、割高感がある水準とも言えない。
今後、企業業績の拡大で株価の上昇は期待できる。しかし、実際には金融引き締め懸念と通貨高で、思うように株価が上昇しないという、じれったい状態が続くと考えている。しばらくは、調整含みの相場展開になるのではないだろうか。
まず、企業業績は今後とも堅調な拡大が続く見通しだ。インドは内需が堅調である。インド国内の自動車販売台数は右肩上がりで、10年3月は122万 6944台(二輪車、三輪車を含む)と過去最高の販売台数を更新した。1人当たりGDPと労働人口の増加が続くインドでは、まだまだこの流れは続くだろ う。
加えて、世界経済に大きな変調がなければ、輸出も好調を維持できそうだ。インド・ソフトウエア・サービス業協会(NASSCOM)によると、10年度(10年4月~11年3月期)のIT業界の輸出収入は、前年度比13~15%増になると予想している。
しかし、金融引き締めと通貨高は、株価のマイナス要因となるだろう。インフレ率は高いレベルにあるため、金融引き締めが続くことは明白である。また、不動 産価格の上昇が行き過ぎれば、中国と同じように規制策が発表され、影響が出る可能性もある。通貨高については、景気回復に合わせて過去1年で米ドルやユー ロに対して12%ほどルピー高が進んでいる。通貨高は一概に悪いことばかりではないが、IT産業をはじめとした輸出産業にとってはマイナス要因である。
もし、世界的な株価下落が起これば短期的な調整もあり得るだろう。しかし、この調整のタイミングは、この後に続く業績相場へ向けての買い時であると考えてよいだろう。
■戸松 信博(とまつ のぶひろ)グローバルリンクアドバイザーズ社長











