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最終更新:2010年08月31日

エコノミストマネー:企業景況感では世界一 ベトナム経済の可能性

 マーケット最前線 ワールドコンパス(エコノミストマネー2010年5月号より)

 米経済誌『ビジネスウイーク』が2010年2月25日号で、英会計・コンサルティング大手のグラント・ソントン・インターナショナルが調査した各国企業の収益予想を掲載している。36カ国の企業幹部7400人を対象に、収益の成長見通しや先行きへの全般的な楽観度、輸出額、研究開発(R&D)などを調査したもので、調査対象業界は食品や建設、不動産、観光・ホテル、運輸、製造、小売り、金融、IT(情報技術)、衣料など多岐に及んでいる。

 この内容が実に面白い。全般的な楽観度ではチリが1位だったが、2月に起きた大地震といったマイナス要因もあり、企業の景況感という観点ではベトナムが1位となっている。ちなみに、その他の上位国にはインド、オーストラリア、ブラジルが挙げられている。

 また、同社がベトナム企業150社を調査したところ、10年の自社の増収を予想した企業の比率は95%、増益予想は92%だった。世界36カ国平均(増収予想54%、増益予想47%)と比べても、かなり高い比率だ。

 「09年のベトナム経済が悪化したため、その回復過程だから」と考える方もいるだろう。しかし、そうではない。確かに07年までのベトナムは平均8%の経済成長を遂げていたが、リーマン・ショック(08年9月)もあって成長が鈍化。それでも08年は6.2%、09年5.3%と、他国に比べてまずまずの成績だ。

 しかも、09年の四半期別成長率をみると、第1四半期(1~3月)の前年同期比3.1%が第4四半期(10~12月)には同6.9%にV字型回復を遂げた。10年1、2月累計の工業生産は前年同期比13.6%の伸びをみせている。ベトナム政府は10年の成長率を7%と予想しているが、現実には2ケタかその近辺になりそうだ。


  ◇予想PERは11倍と割安

 ベトナムは産油国であるとともに、ゴムや水産物、コーヒー、米などの資源、食料、衣料品などの輸出が経済成長の軸になっている。09年の輸出額は前年比22.4%減で、これが成長率を引き下げた。しかし、ベトナム通貨ドンの対ドル公式レートが2月に3.4%切り下げられたこともあり、急回復中だ。

 今後、必ず内需が高成長しよう。ベトナムは「チャイナ・プラス・ワン」(中国への集中投資リスク回避のために選ばれる「もう1カ国」)の代表格だ。賃金は中国の3分の1で、識字率は90%と教育水準も高い。米半導体大手インテルが同社最大の半導体組み立て工場をつくり、モーター最大手の日本電産(6594)も工場を建設。日本の援助で新幹線建設も計画されている。

 減税と最低賃金の2回にわたる引き上げ、政府の景気刺激策の効果などで、個人消費の急成長が始まっている。ベトナムの個人消費は底堅い。09年の小売売上高は前年比18.6%の大幅増。物価上昇率を差し引いた実質でも11.4%の伸びだ。

 ベトナム株の株価収益率(PER)は長い間、40、50倍と割高だったが、3月下旬現在の予想PERは約11倍と割安で、09年11月の戻り高値当時より株価はまだ低位にある。

 ベトナムに日本から投資する代表的な方法は、ベトナムVN指数に連動するETF(上場投資信託)が挙げられる。個別銘柄を狙うより確実だろう。ただ、新興国市場の常として1、2年に1回は激しい上下動が必ずあることは覚悟し、長期で利幅を取りたい。

  ■今井 澂(いまい・きよし)国際エコノミスト

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