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最終更新:2011年07月27日

エコノミストマネー:高成長のベトナム 貿易赤字、インフレに注意

マーケット最前線 新興国株(エコノミストマネー2010年5月号より)

ベトナムの2010年第1四半期(1~3月)のGDP(国内総生産)成長率は、前年同期比5.8%増となった。この数字は、今後の世界経済を牽引していくとみられるアジアのなかでも、中国やインドに次ぐ高い成長率だ。09年第1四半期からの四半期ごとのGDP成長率は同3.1%増、3.9%増、4.6%増、5.3%増。成長が加速していることが確認された。

直近のベトナム経済を振り返ってみると、まずは内需の好調さがうかがえる。10年3月の小売売上高は前年同月比31%増の118兆ドン(約5740億円)だ。インフレ分を差し引いても非常に高い伸び率だ。また、工業出荷高も基本的には上昇トレンドを描いている。

ただ、ベトナムの場合に心配しなければならないのが、貿易赤字とインフレだ。

同じ新興国でも、中国とベトナムの経済状況は異なる。例えるなら、底の厚い鍋と薄い鍋だ。ベトナムは中国と比べると高速道路や鉄道、港湾などインフラ面で大きく遅れている。例えば、上海には日本以上に高層ビルが林立しているが、ベトナムにはまだほとんど高層ビルがない。鉄鋼や石油化学などの基礎的産業も、まだまだ少ない。従って、ベトナムは少しでも景気がよくなると、薄い鍋がすぐ沸騰するがごとく、すぐに景気が過熱してしまう。

具体的には、景気がよくなると資材が必要になるが、それを自国で調達できないために輸入が増えて、すぐに貿易赤字になって通貨安を招き、物不足の状態になるので、インフレになりやすくなる。そうすると、インフレを防ぐために早めに利上げをしなくてはならず、すぐに景気は冷めてしまうのだ。

この点、インフラや基礎的産業がしっかりしている中国は、景気が沸騰するまでに時間がかかる余裕がある。従って、全体のエネルギーとしてはダイナミックな奥行きのある経済動向となる。


◇主要企業は軒並み低PER
今回も中国が10年に利上げを見込んでいるのに対し、ベトナムは09年12月早々に利上げを実施。その前後に金融引き締め懸念で大きく株価が調整した。しかし、中国もベトナムもそうだが、景気サイクル的には金融引き締めを懸念した下落の後に、企業業績の拡大を評価した上昇相場がくる。従って、この金融引き締めを懸念した下落は、業績相場前の買いチャンスであることが多い。むろん、今後も金利引き上げ懸念は続くため、本格的な業績相場に転ずるまでには時間がかかる可能性があるが、そこが狙い目だろう。

実際、ベトナム企業の業績は好調だ。例えば、不動産最大手のホアンアインザーライ(HAG)は、09年は約70%の増益だった。10年も11年も約50%の増益計画を発表しており、同社の経営陣はさらに上方修正する可能性もあると指摘している。仮に、10年が計画通りの業績だった場合、10年予想PER(株価収益率)は約12倍となる見込みだ。つまり、毎年50%の成長をしている企業の株がPER12倍前後で買うことができる可能性があるのが、今のベトナム株なのである。

もちろん同社は一例で、各業界トップのブルーチップ(優良企業株)もPER10~12倍前後で購入することが可能だ。


■戸松 信博(とまつ のぶひろ)グローバルリンクアドバイザーズ社長




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