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最終更新:2010年08月31日

エコノミストマネー:成長戦略の柱は「課題解決型国家」

 金融副大臣 大塚耕平の経済をみる「眼」(エコノミストマネー2010年4月号より)

 21世紀日本の目指すべきステーツモデル(国家像)は「課題解決型国家」です。課題解決の技術とノウハウを各国に提示することは、21世紀の日本の成長にとって重要な要素となるでしょう。

 例えば、レアメタル(希少金属)、レアアース(希土類)の枯渇、偏在への対策。レアメタルは自動車や携帯電話、太陽電池など、ハイテク製品を中心に広範な用途で使われています。今後、新興国でも需要が増えることから、将来的な枯渇は必至。また、レアアースの埋蔵量は、ほぼ100%が中国、レアメタルも南アフリカやロシアなどに偏在し、安定確保には懸念があります。

 資源の枯渇と偏在は世界共通の課題ですが、ハイテク製品を輸出の主力とする日本にとっては一層深刻です。資源権益の確保や備蓄といった直接的な対策も必要ですが、それだけでは解決できません。

 そこで、日本が取り組むべきなのは、代替技術の開発。代替技術は、(1)レアメタルの使用量を減らす技術、(2)レアメタルと同様の機能を実現する技術ーーに分類できます。ナノテクノロジー(超微細技術)や埋蔵量の豊富なノーマルメタル(亜鉛、鉄、銅など)を活用し、その実現を図ることが期待されます。

 また、日本の実情に即した知恵を絞ることも重要です。例えば、使用済みのハイテク製品に含まれるレアアースなどの「都市鉱山」への対策。日本の都市鉱山に「埋蔵」されるレアアースは、世界全体の埋蔵量の1割に相当するとの試算もあります。現在は大半が活用されずに廃棄されているので、その抽出技術と、使用済み製品を回収するための社会的な仕組みを確立する必要があります。

 こうした技術やノウハウは世界に輸出され、将来的に日本の成長の原動力となります。


  ◇「ガソリン車ゼロ国家」を目指せ

 地球温暖化対策のための「温室効果ガス25%削減」目標についても、発想の転換が必要です。例えば、目標実現のために2030年に国内の自動車をEV(電気自動車)とFCV(燃料電池自動車)だけにする、つまり「ガソリン車ゼロ国家」を目指すのです。そのためにはEVやFCVの実用化、低価格化、大量生産に向け、政府の支援が不可欠です。

 その結果、日本のEV、FCVは世界のデファクト・スタンダード(事実上の標準)となり、将来、中国や韓国、インドなどから低価格のガソリン車を輸入する必要もなくなり、貿易収支にもプラスに働きます。

 日本が1年間に支払う原油輸入代金は約30兆円。今後、新興国の需要増により、原油需給が逼迫して価格が上昇することは必至です。原油価格が1割上昇するだけで日本からは3兆円の資金が流出するのです。

 自動車のEV、FCV化や自然エネルギーの活用などによって原油輸入量を抑制できれば、その分、資金の国外流出を抑制できます。さらに、新興国にとっても温暖化対策は必須。環境対策を講じた製品需要も増え、日本の技術、ノウハウ、製品が重要な「輸出財」となるのです。

 30年までに世界の新興国の中間層人口は約10億人増加すると予測されています。そのうち1割の消費需要を日本の技術、ノウハウ、製品に結びつける国家戦略を実現すれば、1億人分、つまり日本の人口に相当する新規需要の獲得につながります。

 温暖化対策に注力することは、貿易収支の改善、資金流出の抑制、新興国の需要獲得という「一石三鳥」。発想を転換し、積極的な国家戦略を推進していくことが必要です。

  ■大塚 耕平(おおつか こうへい)1959年、名古屋市生まれ。83年早稲田大学政治経済学部卒業後、日銀に入行。在籍中に同大学院博士課程(マクロ経済学、財政金融論)修了。2001年から参院議員(現在2期目)。中央大学大学院、早稲田大学客員教授を兼務。民主党きっての経済政策通として知られる 。


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