エコノミストマネー:株価上昇の最低条件は 実質成長率2.7%
マーケット最前線 ニューヨーク株(エコノミストマネー2010年4月号より)
米国経済は2008年第3四半期(7~9月)以降、4四半期連続でマイナス成長を余儀なくされてきた。しかし、09年2月に成立したオバマ景気対策法や一連の金融緩和政策が奏功して09年第3四半期は2.2%、第4四半期(10~12月)は5.7%の成長率に回復するに至った。ここまでは、金融危機によって経済が大きく落ち込んだ反動だったということで説明がつく。重要なのはこの先、どのような成長率軌道を描くか、ということである。
米民間エコノミストの成長率予想の平均をみると、10年第2四半期からの1年間は2.8%となっている。09年前半までの状況に比べれば、良い印象を受ける。しかし歴史的にみると、実は2.8%という水準は株価が上昇するには決して十分とは言えない水準なのである。当社では、過去40年間にわたる経済成長率と株価騰落率の相関関係を分析してみた。その結果、次の4点が明らかになった。
◇株価上昇の4原則
第1に、経済成長率と株価騰落率には正の相関関係がある。経済が成長している時ほど株価も上昇するもので、当然と言えば当然である。
第2に、一般に株価は景気動向に半年程度先行すると言われるが、確かに3カ月でも9カ月でもなく、株価動向と6カ月後の経済成長率に最も強い相関関係が観測された。
第3に、経済成長率には名目と実質の2種類あるが、株価騰落率との相関関係が強いのは、実質成長率である。名目が実質に比べて高い時にはインフレ懸念が強く、長期金利が上昇している可能性が高い。これも、当然と言えば当然である。
当社の分析のなかで最も重要なのは4点目。株価上昇には、実質成長率の伸びが少なくとも2.7%必要だということだ。言い換えれば、実質成長率が2.7%未満の状況では(他の条件が一定なら)株価は下落する可能性が高い。
この仮説は、次のように考えれば理解しやすいかもしれない。企業が得た収入が株主の利益となるのは、従業員に給料を支払い、あらゆる債権者への支払いを済ませ、税金も払い終えた一番最後だ。経済成長率2.7%分程度の収益は、株主の利益となる前に他の支払いへ回ってしまうということである。従って、株価が上昇するには、最低2.7%以上の経済成長率が必要なのである。
もちろん、例外は考えられる。例えば、深いリセッション(景気後退)や大きな株価下落後などの場合、その反動だけで株価が上昇するのはよくあることだ。しかし、今回はリーマン・ショックの後、既に大きなリセッションと株価下落を経験し、その反動で経済も株価も大きく回復している。安値から60%超もの株価上昇をみた今、この先さらに反動による株高を望むのは無理があろう。
2月の米消費者信頼感指数は、民間エコノミストの事前予想を大幅に下回る46.0と発表された。これは、株価がまだ最安値近辺をさまよっていた09年4月とほぼ同じ水準だ。
米GDP(国内総生産)の7割を担う消費者の信頼感が民間エコノミスト予想を大幅に下回るということは、経済成長率もこの先は下方修正が避けられないということである。
そして、株価が上昇する前提で経済成長率を下方修正できるノリシロは、もはや米民間エコノミストの成長率予想の平均である2.8%から、株価上昇の最低ラインである2.7%まで、わずか0.1%分しか残されていない。これが現状である。
■堀古 英司(ほりこ ひでじ)ホリコ・キャピタル マネジメント社長(NYでヘッジファンドを運用)
米国経済は2008年第3四半期(7~9月)以降、4四半期連続でマイナス成長を余儀なくされてきた。しかし、09年2月に成立したオバマ景気対策法や一連の金融緩和政策が奏功して09年第3四半期は2.2%、第4四半期(10~12月)は5.7%の成長率に回復するに至った。ここまでは、金融危機によって経済が大きく落ち込んだ反動だったということで説明がつく。重要なのはこの先、どのような成長率軌道を描くか、ということである。
米民間エコノミストの成長率予想の平均をみると、10年第2四半期からの1年間は2.8%となっている。09年前半までの状況に比べれば、良い印象を受ける。しかし歴史的にみると、実は2.8%という水準は株価が上昇するには決して十分とは言えない水準なのである。当社では、過去40年間にわたる経済成長率と株価騰落率の相関関係を分析してみた。その結果、次の4点が明らかになった。
◇株価上昇の4原則
第1に、経済成長率と株価騰落率には正の相関関係がある。経済が成長している時ほど株価も上昇するもので、当然と言えば当然である。
第2に、一般に株価は景気動向に半年程度先行すると言われるが、確かに3カ月でも9カ月でもなく、株価動向と6カ月後の経済成長率に最も強い相関関係が観測された。
第3に、経済成長率には名目と実質の2種類あるが、株価騰落率との相関関係が強いのは、実質成長率である。名目が実質に比べて高い時にはインフレ懸念が強く、長期金利が上昇している可能性が高い。これも、当然と言えば当然である。
当社の分析のなかで最も重要なのは4点目。株価上昇には、実質成長率の伸びが少なくとも2.7%必要だということだ。言い換えれば、実質成長率が2.7%未満の状況では(他の条件が一定なら)株価は下落する可能性が高い。
この仮説は、次のように考えれば理解しやすいかもしれない。企業が得た収入が株主の利益となるのは、従業員に給料を支払い、あらゆる債権者への支払いを済ませ、税金も払い終えた一番最後だ。経済成長率2.7%分程度の収益は、株主の利益となる前に他の支払いへ回ってしまうということである。従って、株価が上昇するには、最低2.7%以上の経済成長率が必要なのである。
もちろん、例外は考えられる。例えば、深いリセッション(景気後退)や大きな株価下落後などの場合、その反動だけで株価が上昇するのはよくあることだ。しかし、今回はリーマン・ショックの後、既に大きなリセッションと株価下落を経験し、その反動で経済も株価も大きく回復している。安値から60%超もの株価上昇をみた今、この先さらに反動による株高を望むのは無理があろう。
2月の米消費者信頼感指数は、民間エコノミストの事前予想を大幅に下回る46.0と発表された。これは、株価がまだ最安値近辺をさまよっていた09年4月とほぼ同じ水準だ。
米GDP(国内総生産)の7割を担う消費者の信頼感が民間エコノミスト予想を大幅に下回るということは、経済成長率もこの先は下方修正が避けられないということである。
そして、株価が上昇する前提で経済成長率を下方修正できるノリシロは、もはや米民間エコノミストの成長率予想の平均である2.8%から、株価上昇の最低ラインである2.7%まで、わずか0.1%分しか残されていない。これが現状である。
■堀古 英司(ほりこ ひでじ)ホリコ・キャピタル マネジメント社長(NYでヘッジファンドを運用)












