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最終更新:2010年08月31日

エコノミストマネー:利上げに転じた豪州経済 強みは移民による人口増

 マーケット最前線 為替相場の読み方(エコノミストマネー2010年2月号より)

 OECD(経済協力開発機構)加盟30カ国のなかで今、経済が最も強い国はどこか。答えはオーストラリア(豪州)だろう。世界的な金融危機に巻き込まれながらも、最悪期をいち早く脱し、景気が回復軌道に乗っている。

 中央銀行である豪州準備銀行(RBA)は2009年10月、主要20カ国・地域首脳会議(G20金融サミット)参加国のなかで最初に利上げ(0.25%)を実施した。その後も11月、12月と同じ幅で追加利上げを行い、政策金利であるキャッシュレートは年3.75%に上昇した。高金利通貨の代表格として豪ドルが個人投資家の人気を集めた前回利上げ局面でのキャッシュレートのピークは、08年3~9月の年7.25%。「リーマン・ショック」が同年9月中旬に起こった後、RBAは景気の底割れを警戒して10月から急速な利下げを実施。09年4月には3.0%まで下がった。

 ピークから4.25%という大幅な利下げを考えると、今回の3回にわたる利上げで実現した0.75%という上昇幅はいかにも小さい。しかし、日米欧の中央銀行の利上げ転換は11年にずれ込むという見方が一般的であることを考えると、09年中に3回も利上げした事実は、やはりすごい。外国為替市場では、09年10月の利上げを材料に米豪金利差に着目した豪ドル買いが強まり、1豪ドル=0.90米ドル台を回復。11月には1豪ドル=0.94米ドル台に乗せる場面があった。


  ◇人口増加率は 60年代以来の高さ

 豪州経済の強みは何だろうか。

 RBAのグレン・スティーブンス総裁は09年11月、「繁栄への道のり」と題して講演を行い、豪州では金融機関が過度のリスクをとらなかったこと、事業法人がバランスシートの面で保守的な経営を行っていたことなど、いくつかの理由を説明した。

 最も筆者の印象に残ったのは、人口動態の強みである。豪州の人口増加率は1960年代以来の高さだという。ちなみに同国統計局のホームページで調べてみると、09年6月末時点の人口は約2187.5万人で、1年間に2.1%増えている。この増加分の36%が自然増、残りの64%は海外移民によるものだという。

 スティーブンス総裁は講演で、移民を中心とする人口増加が経済の需要と供給の両面に影響してくることを強調した。移民には自分が住むための家が必要で、さまざまなモノやサービスを入手する必要もある。彼らは、経済の供給力と需要の双方を生み出す。移民もまた子供を生むから、住宅需要はさらに増加していく。

 さらには、政府などによる都市部のインフラ整備も必要になってくる。金融サービスの面では、住宅購入者がローンを組むコストではなく、不動産開発業者が資金を借り入れることが容易かどうか、そしてその期間が長いかどうかが、より重要になるという。

 人口増加が力強く続くのに伴い、豪州経済は拡大均衡を遂げているわけである。

 豪州の財政状況もかなり健全だ。景気対策を打ち出したことで足元では赤字になっているが、数年内に財政均衡を回復できる見通しである。中国などアジアの高成長地域と地理的に近いという利点や、資源国であるという強みもある。

 人口減・少子高齢化から慢性的なデフレ構造に陥っている日本経済は、豪州経済の強さから学ぶべき点が多い。

  ■上野 泰也(うえの やすなり) みずほ証券チーフマーケットエコノミスト


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