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最終更新:2011年07月27日

エコノミストマネー:日米関係悪化なら円高・デフレ進行も

マーケット最前線 為替相場の読み方(エコノミストマネー2010年1月号より)


11月27日早朝、円・ドル相場は1ドル=85円を割り込んだ。2009年の円高・ドル安のピークだった87円10銭(1月21日)のラインを抜いたことになる。

円高が加速した理由としては、米連邦公開市場委員会(FOMC)が同24日に発表した議事録・経済見通しの内容から、米国の超低金利政策の長期化見通しが強まってドル売り安心感につながったこと、日本の10月の貿易黒字が増加したこと、ドバイの政府系投資会社の経営不安が表面化した「ドバイ・ショック」などが挙げられる。

また政府は同20日の月例経済報告で、日本経済は「デフレである」と公式に宣言した。日本経済は「慢性的なデフレ」と言える。人口減少・少子高齢化という人口動態を主因にして国内需要は地盤沈下が継続中で、過剰供給と過少需要というデフレ構造が慢性化していること、グローバルな金融危機・同時不況から日本の経済・企業収益・雇用所得環境が大幅に悪化したことによるデフレ圧力の増幅、円高による追加的なデフレ圧力──これらが複合して作用し、デフレが徐々に強まっている。

言い尽くされてきたことだが、円高の進行は、輸出主導の日本の景気回復の道筋を狭めるほか、輸入品の価格下落を通じてデフレ圧力を強め、日本経済を圧迫する。


◇米軍基地問題の決着越年なら「円高カード」?
市場の要因だけでなく、政治・軍事面での日米の「すれ違い」が、円高に影響してくる可能性はないだろうか。かつてクリントン米民主党政権が意見の合わない日本政府に対して市場の力を利用して圧力をかけようと、いわゆる「円高カード」を使ったこともあることから、注意したいテーマである。

鳩山由紀夫政権は日米安全保障条約(日米同盟)を外交の基盤として引き続き重視しつつも、対米追従から日米対等へと外交姿勢を修正したうえで、中国など東アジア諸国との関係緊密化に外交の軸足を微妙にシフトしたい意向だ。

世界一の経済大国で、政治・軍事面では圧倒的な存在感を誇示している米国。高度経済成長を遂げ、10年には日本を抜いて世界2位の経済大国に浮上することが確実で、軍事面でも存在感を着実に増している中国。日本は地理的に両国の間に位置している。日本の外交は中長期的にみた場合、軸足のとり方が難しい。ちょうど、欧州大陸と米国に挟まれている英国のようなポジションである。英国は欧州連合(EU)の一員でありながら統一通貨ユーロを採用せず、米国との連携も重視している。

仮定の話だが、米中の関係が将来悪化した場合、日本はどちらに肩入れするのか、選択を迫られる可能性もある。日本は政治・軍事面では米国を重視し、経済面では伸び盛りの中国などアジアの需要取り込みに注力するという使い分けをすることができる。米国の姿勢も実はそのような使い分けになっている。09年1月のオバマ政権発足後、クリントン国務長官がまず日本を訪れる一方、ガイトナー財務長官は米国債の最大の買い手である中国をまず訪れた。

しかしこの使い分けが、鳩山政権で不明確になった。政治・軍事面での米国重視の姿勢がぐらついているようにみえることが、日米関係をギクシャクさせている。米軍基地問題の決着が越年し、日米関係の悪化が表面化する場合、市場でクリントン政権時代の円高の連想が生じることも考えられるだろう。


■上野 泰也(うえの やすなり) みずほ証券チーフマーケットエコノミスト




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