エコノミストマネー:ドバイ・ショックでUAE株は買いの好機
マーケット最前線 新興国株(エコノミストマネー2010年1月号より)
アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国政府が11月25日、政府系投資持ち株会社ドバイ・ワールドの債務返済の繰り延べを要請したことから、デフォルト(債務不履行)懸念が広がり、世界の株式相場が急落する「ドバイ・ショック」が起こった。
今回のニュースは、短期的にドバイおよび中東株式市場にとって間違いなく悪いニュースだ。しかし、先進国では行き過ぎた報道もあったことに加え、翌26日から29日はイスラム教の祭り「犠牲祭」でUAEの株式市場が連休だったこと、その直前に発表したために対応が遅くなったことが、事態を悪化させたと考えられる。
2008年から続く金融混乱の状況下では、主要企業が負債支払いを延期することは特に珍しいことでもなく、それを政府が救済するという形も同様である。今回のケースでは最悪の場合、UAEの首都アブダビが豊富な原油マネーを使って救済すると考えられる。ドバイで大きな破綻が起これば、アブダビにも資金逃避などの悪影響が出るからだ。
◇要人発言に注目割安な銘柄も
実際のところは、UAE中央銀行がUAE国内の金融システム保護のために流動性を供給し、ドバイ・ワールドが約260億ドルの債務の再編を銀行団と協議中であり、ドバイ政府は保証はしないが、少なくとも負債支払いの意志があることを示したことで、市場は落ち着きを取り戻した。そのほか、UAEのハリファ大統領がUAEやドバイの経済に対して前向きな声明を発表したことも、市場の懸念を和らげている。
ちなみに、ドバイ株式市場はドバイ・ショック後の11月30日、12月1日と2営業日連続で続落したが、12月2~5日の連休を挟んだ翌6日には反発している。これには新興国投資で著名な米テンプルトン・アセット・マネジメントのマーク・モビアス氏が、「ドバイ・ワールド以外のドバイを代表する不動産会社のエマールプロパティーズ(EMAR)やディヤール(DEYR)などの不動産デベロッパーはキャッシュフローが潤沢で、ファンダメンタルズ(業績環境)も良好な状態を維持している。すべての不動産会社がトラブルを抱えているわけではない」と指摘し、「ドバイ・ショックの余波で暴落しているこれらの株に注目する必要がある」と語ったことが、株価底打ちの一因となった。
確かに、安全性さえ確認できれば、これらの銘柄は割安だと考えられる。例えば、エマールの10年予想利益ベースの株価収益率(PER)は、12月6日終値で5~6倍程度まで下がっている。
世界の株式市場に与えるドバイ・ショックの影響も限定的だろう。欧米銀行が処理しなければならない不良資産の総額は200兆~300兆円規模であるのに対し、ドバイ・ワールドの負債総額は約5兆3000億円にとどまる。世界全体をこのまま大きく揺るがし続けるほどの金額ではない。
実際、ゼーリック世界銀行総裁やラガルド仏経済・財政・雇用相は「今回の問題は対処可能であり、世界経済に連鎖的悪影響を及ぼす恐れはない」との見解を表明している。
むろん、第2のドバイ・ワールド発生の懸念は残されている。しかし、ポジティブに考えれば、財務内容や業績が良好なのに暴落しているUAEの銘柄は、長期的にみて買いのチャンスとも考えられる。
■グローバルリンクアドバイザーズ社長 戸松信博(とまつ・のぶひろ)
アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国政府が11月25日、政府系投資持ち株会社ドバイ・ワールドの債務返済の繰り延べを要請したことから、デフォルト(債務不履行)懸念が広がり、世界の株式相場が急落する「ドバイ・ショック」が起こった。
今回のニュースは、短期的にドバイおよび中東株式市場にとって間違いなく悪いニュースだ。しかし、先進国では行き過ぎた報道もあったことに加え、翌26日から29日はイスラム教の祭り「犠牲祭」でUAEの株式市場が連休だったこと、その直前に発表したために対応が遅くなったことが、事態を悪化させたと考えられる。
2008年から続く金融混乱の状況下では、主要企業が負債支払いを延期することは特に珍しいことでもなく、それを政府が救済するという形も同様である。今回のケースでは最悪の場合、UAEの首都アブダビが豊富な原油マネーを使って救済すると考えられる。ドバイで大きな破綻が起これば、アブダビにも資金逃避などの悪影響が出るからだ。
◇要人発言に注目割安な銘柄も
実際のところは、UAE中央銀行がUAE国内の金融システム保護のために流動性を供給し、ドバイ・ワールドが約260億ドルの債務の再編を銀行団と協議中であり、ドバイ政府は保証はしないが、少なくとも負債支払いの意志があることを示したことで、市場は落ち着きを取り戻した。そのほか、UAEのハリファ大統領がUAEやドバイの経済に対して前向きな声明を発表したことも、市場の懸念を和らげている。
ちなみに、ドバイ株式市場はドバイ・ショック後の11月30日、12月1日と2営業日連続で続落したが、12月2~5日の連休を挟んだ翌6日には反発している。これには新興国投資で著名な米テンプルトン・アセット・マネジメントのマーク・モビアス氏が、「ドバイ・ワールド以外のドバイを代表する不動産会社のエマールプロパティーズ(EMAR)やディヤール(DEYR)などの不動産デベロッパーはキャッシュフローが潤沢で、ファンダメンタルズ(業績環境)も良好な状態を維持している。すべての不動産会社がトラブルを抱えているわけではない」と指摘し、「ドバイ・ショックの余波で暴落しているこれらの株に注目する必要がある」と語ったことが、株価底打ちの一因となった。
確かに、安全性さえ確認できれば、これらの銘柄は割安だと考えられる。例えば、エマールの10年予想利益ベースの株価収益率(PER)は、12月6日終値で5~6倍程度まで下がっている。
世界の株式市場に与えるドバイ・ショックの影響も限定的だろう。欧米銀行が処理しなければならない不良資産の総額は200兆~300兆円規模であるのに対し、ドバイ・ワールドの負債総額は約5兆3000億円にとどまる。世界全体をこのまま大きく揺るがし続けるほどの金額ではない。
実際、ゼーリック世界銀行総裁やラガルド仏経済・財政・雇用相は「今回の問題は対処可能であり、世界経済に連鎖的悪影響を及ぼす恐れはない」との見解を表明している。
むろん、第2のドバイ・ワールド発生の懸念は残されている。しかし、ポジティブに考えれば、財務内容や業績が良好なのに暴落しているUAEの銘柄は、長期的にみて買いのチャンスとも考えられる。
■グローバルリンクアドバイザーズ社長 戸松信博(とまつ・のぶひろ)












