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最終更新:2010年08月31日

エコノミストマネー:デフレ脱却に必要な政府・日銀の連携

 金融副大臣 大塚耕平の経済をみる「眼」(エコノミストマネー2010年1月号より)

 政府は11月20日、現在の日本経済が「デフレ」の状態であることを2006年6月以来3年5カ月ぶりに宣言しました。中国やインドなど新興国や欧米諸国がインフレ気味であるのとは対照的に、日本では業績低迷や所得減少、雇用悪化、売り上げ減少がさらなる物価下落を招く「デフレスパイラル」も視野に入ってきました。

 デフレの要因は基本的には3つ。第1は需要不足。第2は将来不安を背景にした消費意欲の減退。第3は技術革新などを伴う価格低下です。

 需要不足に対しては景気対策が必要であり、政府も第2次補正予算編成を決定。もっとも、公共事業を中心とした従来型景気対策の失敗を繰り返さずに、家計や中小企業に直接的かつ早期に効果が及ぶよう財政支出を工夫しなくてはなりません。

 また、役所の権益のために行われているような不合理な規制を緩和すれば、企業の活動コストを軽減することが可能です。そのため、財政負担を伴わない景気対策として、規制や行政指導を見直すことも必要です。

 一方、将来不安解消のためには、社会保障の充実が急務。同時に、国民が納得できるような財政健全化への取り組みも不可欠です。そのことが、社会保障充実のための財源確保を可能とするほか、景気対策の財源負担が将来の増税に転嫁されないという信頼感につながります。その意味で、注目を集めた「事業仕分け」は当然の取り組み。財政健全化に向けた政府の姿勢に対する信頼感を高め、景気対策の効果を底支えします。

  ◇円高・株安の背景に物価下落に伴う実質金利高

 以上は政府による財政面の対応ですが、デフレには「金融面の環境」という第4の要因も影響します。

 08年秋の金融危機以降、主要国が例外なく金融緩和を実施したことで、日本とは対照的にその効果が顕現化。日本の金融緩和策が不十分だったのか、今も足りないのか。それとも何か別の要因があるのか。狭義の金融政策を担う日本銀行は、こういう点について説明責任があります。

 政府のデフレ宣言から1週間後、予想外のところで主要国の金融緩和の影響が顕現化しました。11月27日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国の信用不安に端を発して世界の株価が急落。「ドバイ・ショック」です。ドバイは世界各国から借り入れた資金を元手に、公共インフラや不動産開発を進め、中東湾岸地域の商業・交通拠点として急成長しました。それを可能にしたのは世界的な超金融緩和であり、これがドバイに不動産バブルを発生させていたのです。しかし、今回の金融危機を契機に状況は一変。ドバイの不動産相場は過去1年で半分に下落しました。

 ドバイ・ショックによって、アジア諸国では株、通貨、債券のトリプル安に。ところが、日本だけは株価は値下がりしたものの、通貨(円相場)と債券価格は上昇し、いびつな動きを示しました。

 その要因の1つは、日本と各国との実質金利差。日本の名目金利はゼロ%近辺ですが、デフレによって物価が下落、それを加味した実質金利は2〜3%です。一方、米国やアジア諸国は物価上昇が続いており、名目金利から物価上昇率を引いた実質金利は極めて低水準。つまり、日本の実質金利の高さが、円高と債券高(金利低下)の背景にあったのです。

 債券高は日本経済にとってプラスですが、株安、円高は景気を下押しします。2番底回避のためには、政府・日銀が一体となって財政・金融両面から対策を講じなくてはなりません。両者の連携がポイントです。

  ■おおつか・こうへい 1959年、名古屋市生まれ。83年早稲田大学政治経済学部卒業後、日銀に入行。在籍中に同大学院博士課程(マクロ経済学、財政金融論)修了。2001年から参院議員(現在2期目)。中央大学大学院、早稲田大学客員教授を兼務。民主党きっての経済政策通として知られる


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