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最終更新:2011年07月27日

エコノミストマネー:マーケット最前線 新興国株(2009年12月号)

戸松 信博 グローバルリンクアドバイザーズ代表取締役


◇ベトナムの景気刺激策 市場の評価は正しいか
ベトナムでは10月20日から11月25日まで、第12期第6回国会が開かれている。重要な政策が決定される国会だが、今回、証券市場が最も注目しているのは、景気刺激策第2弾だ。

景気刺激策は2008年末にグエン・タン・ズン首相が提唱。09年に入り、総額を80億ドルとする枠組みが示された。そのうち企業に対する重点政策として、税金の減免や4%分の貸付金利を政府が負担する支援策などが実施されてきた。

この貸付金利支援策は現在も継続されており、10月29日時点までに約413兆ドン(約2兆890万円)が貸し付けされている。当初は09年度内に返済する短期貸し付けだけが対象だったが、4月からは、融資自体は年内に実行されたものに限るものの、返済期限を最長11年末とする中長期貸し付けにも対象が拡大した。

しかし、これらの貸し付けが、実際には過去の借り入れ返済や、時には証券・不動産市場などの投機へ回っており、本来の使用目的から逸脱したケースも報告され始めている。そして次第に両市場の過熱ぶりが指摘され、さらには今後のインフレ要因として問題視されるようになってきた。ズン首相を中心とするベトナム政府は、従来の高い経済成長軌道に戻るためには、第2弾の景気刺激策が必要だと感じ、9月にはその実施の是非についての検討を関係機関に指示していた。

今国会で、その景気刺激策第2弾が決定された。主な柱は、10年第1四半期末まで法人税の延納を認めることや、中長期貸し付けの金利支援の融資実行期限を1年間延長して10年末まで行うこととし、短期貸付期限も10年第1四半期まで延長した。ただし、金利支援は4%分から2%分へと縮小され、対象企業も大量の労働者を使用する業種や輸出企業とされた。

これに対する株式市場の評価は、今のところあまり芳しいものではない。第2弾の政策発表後、株価は下落している。


◇政府は将来のインフレ懸念にも配慮
その理由は、規模を含めて第1弾以上とはいかず、対象企業も限定されているように受け取られていることや、金利支援は継続が決定したが、現在の貸し付けの伸び率が国家中央銀行の設定していた30%を超える33%に達しており、今後は十分な融資が受けられない懸念がある、といったことが挙げられる。市場では証券を担保にした貸し付けに関して調査が入るとの噂も流れ、株価の下落を促進させた。

また、IMF(国際通貨基金)はベトナムの09年GDP(国内総生産)成長率を4.6%程度と予想している。5.0から5.2%というベトナム政府の予想を大きく下回っており、現状維持といったところだ。確かに、融資が拡大しないようなら、経済成長もそうした水準にとどまる可能性はありうる。

ただし、個人的には今回の景気刺激策第2弾を評価している。貸し出しの伸び率が当初目標を超えていることからも、このままの貸し付けの状態が続けば、短期的に景気はよくなり、株価は上昇するかもしれない。しかし、一方で、将来インフレになる可能性は高くなる。景気刺激策第2弾は、市場に大きなショックを与えず、金融政策を適正な水準に緩やかに戻していると言えるのではないだろうか。株価も現在は下落しているが、このあたりが評価されてくれば、ふたたび上昇基調に戻ると考える。(2009年12月号)




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